全長は最大70cmを超えるが、よく漁獲されるのは30cm前後までである。背側と鰭膜は
和名通り黒-灰色で、腹側は白色をしている。体側は銀色に光る灰色だが、不明瞭な横
縞があるものも多い。鰓蓋上端・目の後方やや上に、目と同程度の黒斑が一つある。
体型は左右から押しつぶされたように平たい楕円形で、典型的な鯛の体型だが、マダイ
に比べると口が前に突き出す。顎の前方には3対の犬歯、側面には3列以上のがあり
、ヘダイ亜科の特徴を示す。背鰭は11棘条・11軟条、尻鰭は3棘条・8軟条からなり、
クロダイ属のラテン語名"Acanthopagrus"は発達した棘条に由来する。特に尻鰭の第2棘
条が強大に発達する。側線鱗数(そくせんりんすう)は48-56枚、背鰭と側線の間の鱗
は6-7列で、この点で近縁種と区別できる。

北海道以南の日本列島、朝鮮半島から台湾までの東アジア沿岸域に分布する。
ただし奄美大島以南の南西諸島には分布せず、ミナミクロダイ、ナンヨウチヌ、ヘダイ
といった近縁種が分布する。タイ科の大型魚としては珍しく水深50m以浅の沿岸域に生息し、
河口の汽水域にもよく進入する。環境への適応力も高く、岩礁から砂泥底まで見られ、
汚染にも比較的強い。冬は深みに移動するが、夏は水深1-2mの浅場に大型個体がやって
来ることもある。他のタイ科魚類と同じく小魚や甲殻類、貝類など様々な小動物を捕食
するが、クロダイはタイ科魚類でも特に雑食性が強いのが特徴で、海藻も食べる。
産卵は春に海域で行われ、直径0.8-0.9mmほどの分離浮性卵を産卵し、水温20℃では約30時間
で孵化する。孵化直後の仔魚は体長2mmほどで卵黄嚢をもつ。体長8mmほどから砂浜海岸の
波打ち際や干潟域、河口域などの浅所に集まり、プランクトンを捕食して成長する。生後1年
で体長12cm、5年で26cm、9年で40cmほどに成長するが、マダイと比べると成長が遅い。
夏から秋には海岸域で全長10cm足らずの若魚を見ることができる。若魚はスーッと泳いでは
ピタッと停まるのを繰り返しながら餌を探す。水中の砂底で砂煙を上げるとこれらの若魚が近
寄ってきて、多毛類やスナモグリなどの餌を漁る様が観察できる。
成長によって性転換する魚としても知られる。性転換する魚はメス→オスが一般的(マダイ等)
だが、クロダイを含めたヘダイ亜科は雄性先熟を行い、オス→メスに性転換する。2-3才までは
精巣が発達したオスだが、4-5才になると卵巣が発達してメスになる。ただし全てがメスになる
わけではなく、雌性ホルモン(エストラジオール-17β=E2)が不足したオスは性転換しない。
黒鯛
| 分類 魚類 スズキ目 タイ科 |
| 学名 Acanthopagrus schlegeli |
| 分布 日本では:北海道以南(琉球列島をのぞく)、東シナ海 世界では:朝鮮半島南部、渤海、黄海、台湾 |
| 環境 浅い海の砂地(~10m)、河口・汽水域 |
| 体長 30~70cm |


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